中国案件を共同で進める場合の実務|役割分担・責任範囲・報酬の整理

2026.08.14

顧問先との関係を維持しながら、中国側の確認・資料整理を連携して進めるために

結論

中国案件をすべて一つの組織だけで完結させようとすると、担当範囲が曖昧になりがちです。税理士の皆様が顧問先との関係と日本側の判断を担い、UAが中国側の事実確認・資料整理・連携を支援し、必要に応じて現地の会計・税務・法律専門家が各自の専門業務を担うのが自然なフォーメーションです。

中国案件の共同対応で最初に決めるべきことは、「誰が窓口になるか」ではなく、「誰が何を確認し、どの判断・手続に責任を持つか」です。日本側の税務判断、中国側の事実確認・資料整理、現地で資格や届出が必要となる業務を分けて設計します。

1.共同対応を始める前に決める3つの役割

この整理は、誰かの業務を狭めるためではありません。顧問先に対して、確認事項、作業の流れ、回答の責任を明確にするためのものです。

役割 主な内容 担当の考え方
日本側の判断・顧問先対応 日本税務上の検討、顧問先との協議、結論の説明 税理士の皆様が主導
中国側の事実確認・資料整理・連携 中国語資料の確認、現地担当者との連絡、必要事項の整理、進捗管理 UAが支援。法定手続・専門判断は必要に応じ現地専門家と連携
現地の専門業務・当局対応 中国側の申告、当局対応、監査、法的意見等 業務内容に応じた現地の専門機関・専門家が担当

2.共同対応の標準的な流れ

1.相談を受ける

相談目的、期限、対象会社、取引、資料の所在を確認します。

2.論点と担当範囲を仮決めする

日本側の判断、中国側で確認する事実、現地の専門業務に分けます。

3.必要資料と確認事項を共有する

誰が、いつまでに、何を確認するかを一覧にします。

4.中国側の確認・資料整理を行う

資料の内容、現地制度・運用、申告・当局対応の状況を確認します。

5.日本側で判断し、顧問先へ説明する

中国側確認の結果を前提に、日本側の税務論点と対応方針を整理します。

6.成果物と次の対応を確定する

報告内容、追加調査、現地手続、スケジュールを合意します。

3.案件ごとの役割分担表を一枚作る

共同対応の開始時に、次のような役割分担表を作ると、顧問先・日本側・中国側の認識違いを防げます。

項目 日本側の士業 UA 現地専門家
相談の受付・顧問先説明 主担当 必要に応じ補足 必要に応じ補足
日本側の税務論点整理 主担当 事実確認を支援 現地事実を回答
中国語資料の確認・整理 利用目的を示す 主担当 専門判断が必要な場合に確認
中国側の制度・実務確認 日本側への影響を確認 主担当 専門的判断・当局対応を担当
申告・当局対応・監査等 日本側への影響を検討 連携・進捗支援 主担当
最終報告・追加対応 主担当 中国側事項を補足 専門意見等を提供

4.契約・報酬で先に決めること

共同対応では、作業を始める前に、最低限次の事項を明確にします。

  • 依頼者は誰か、各担当者は誰と契約するか
  • 相談・調査・資料整理・申告・当局対応のうち、どこまでを含むか
  • 報告書、資料一覧、会議、翻訳・通訳など、成果物の内容
  • 通常作業と追加作業の区分、期限、報酬・実費の扱い
  • 顧問先への連絡窓口、専門家間の情報共有方法
  • 守秘義務、資料の保管、個人情報・営業秘密の扱い
  • 各担当者が責任を持つ範囲と、判断に必要な前提条件

5.報酬は「初動」「個別調査」「現地手続」に分ける

区分 内容 報酬の考え方
初動整理 相談内容の整理、担当範囲の設計、必要資料の特定 定額または時間制で明確化
個別調査・資料整理 中国語資料の確認、事実関係の整理、現地への確認 論点・資料量・期限に応じて見積り
現地の専門業務 申告、当局対応、監査、法的意見等 現地専門機関の見積りを別途提示
追加対応 前提変更、追加資料、期限短縮、会議・訪問等 追加条件と単価・見積り方法を事前に合意

6.共同対応で避けたいこと

  • 担当範囲や成果物を決めずに、資料の受け渡しだけを始めること
  • 現地の事実確認と日本側の判断を混同すること
  • 顧問先への説明者を決めず、複数の専門家が別々に回答すること
  • 法定手続や当局対応について、担当・権限・必要資格を確認しないこと
  • 追加作業の条件を決めずに、無制限に調査を広げること

まとめ

中国案件の共同対応では、日本側の判断、中国側の事実確認・資料整理、現地の専門業務を分け、案件ごとに役割分担表を作ることが重要です。UAは、中国側の確認・資料整理・連携を支援することで、税理士の皆様が顧問先との関係と判断を維持しやすい体制づくりに貢献します。

中国案件についてご相談ください

中国側の確認事項の整理、資料取得・整理、現地専門家との連携、役割分担表の作成をご支援します。
顧問先との関係を維持したまま、中国側の実務部分だけをご相談いただくことも可能です。

※本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別案件に関する法務・税務意見ではありません。具体的な判断は、事実関係と最新法令を確認したうえで行う必要があります。

在中国30年/上海現地から生の情報発信中  上海UAコンサルティング代表

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